審議会の冒頭であいさつをする粟村勝行・岩手労働局長=2024年6月7日午前、盛岡市
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 最低賃金(時給)が893円と、単独での全国最下位の岩手県で、今年度の引き上げ額の議論が始まった。例年、最下位は複数県が横並びになることが多く、単独では2018年度の鹿児島県以来だ。最下位脱出をもくろむ労働者側、過度な負担を避けたい使用者側。熱い議論がスタートした。

 盛岡市内で7日に開かれた岩手地方最低賃金審議会の第1回本審。岩手労働局の粟村勝行局長は、労使の主張がぶつかる厳しい審議になることを想定し、「ちょっと熱い夏になるかもしれません」とあいさつした。

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 審議会は公労使の三者で話し合われる。データを基に議論を尽くして引き上げ額を決める仕組みだ。

 岩手県の最低賃金は、岩手の次に低い沖縄県とも3円離れている。そのため、労働者側からは「県内の優秀な人材が流出する可能性がある」などと最下位脱出を望む声は強い。

 先月29日には、達増拓也知事が岩手労働局を訪れ、切り出した。

 「全国で単独の最下位となり…

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